日本心臓血管内視鏡学会 学術集会・イベント

第26回学術集会 内田賞・ベストイメージ賞

第26回学術集会 内田賞

「Detection of disrupted plaques by coronary CT: comparison with angioscopy .Heart 2011,97:1397-1402」

西尾まゆ(大阪警察病院 循環器科)

西尾 まゆ

このたびは褒賞内田賞の名誉を賜り、内田康美先生をはじめ、選考委員会の先生方に心より厚く御礼申し上げます。

本論文は内視鏡でしかわからない破綻プラークがCTでどこまで予測できるかを検討したものです。急性冠症候群は不安定プラークの破綻と血栓形成によって発症し、狭心症の責任病変に破綻プラークが存在すれば急性冠症候群と考えられますが、破綻プラークの存在を非侵襲的に診断することは困難でした。また症状が非典型的である場合も多く、急性冠症候群が見逃されることも少なくありません。しかし、本研究の結果によると、冠動脈CTを用いれば、破綻プラークの存在を臨床的に妥当なレベルで診断することができるため、非典型的な症状を有する症例に対しては、冠動脈CTを施行して急性冠症候群であるか否かを診断し、急性冠症候群と診断されれば早急に冠動脈形成術を施行することによって、急性心筋梗塞や突然死の発生を防止できることが示唆されました。

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この論文は児玉和久先生、平山篤志先生はじめ当院の歴代の先生方がつちかわれた内視鏡の土台、また小松誠先生が築かれたCTの土台があったためにできた論文であり、決して私個人の力ではありません。今回このような名誉を賜るのは本当に恐縮ですが、今後さらなる研究のため、努力させていただきたいと考えております。今後ともどうぞ見守っていただけましたら幸いです。

最後になりましたが、この論文作成に多大なご尽力を賜りました上田恭敬先生、藤沢康雄放射線技術科課長はじめ循環器科スタッフ、放射線技術科スタッフの方々に深く感謝申し上げます。

第26回学術集会 ベストイメージ賞

「シロリムス溶出性ステント留置7年後の晩期再狭窄病変 -光干渉断層法、血管内視鏡による観察-」

稲見茂信(日本医科大学 循環器科)

稲見茂信

この度は,平成24年度第26回日本血管内視鏡学会ベストイメージ賞を賜り大変光栄に感じるとともに御選考いただきました皆様に心から御礼申しあげます.

今回我々は留置7年後に晩期再狭窄を認めたSirolimus eluting stentの血管内視鏡画像と光干渉断層像を提示させていただきました.動脈硬化性変化を伴った新生内膜の破綻,露出したステントストラット,そのストラットの下に存在する黄色プラーク,ステント圧着不良部位に付着するフィブリンなど冠動脈造影では全く描出できない多くの不安定な所見を血管内視鏡や光干渉断層像により詳細に描出することができました.血管内イメージングを診断治療に役立てるためにはノイズの少ない“きれいな画像”を得ることが非常に重要であることを諸先輩より御教授いただき,これまでノイズの少ない画像を得ることを常に心がけてきました.今回の受賞は“きれいな画像”へのこだわりを御評価していただいたものと存じます.

最後になりましたが今回の受賞に際し,これまで御指導,御鞭撻いただきました多くの先生方に改めて感謝の意を表します.これからもこの分野の発展に少しでも寄与できるように努力していきたいと思います。