日本心臓血管内視鏡学会 学会概要

日本心臓血管内視鏡学会 理事長挨拶

公益財団法人 三越厚生事業団
常務理事 水野 杏一

水野 杏一

昔から、百聞は一見にしかずということわざがあります。これは日本のみのことわざと思っていましたが、欧米でも"Seeing is believing"や "A picture is worth a thousand words"との言葉があります。いかに、我々の目で実体構造を観察することが重要であるかということを物語っています。心臓血管内視鏡はまさに、生体内 の心血管を体外から観察できる唯一の方法であり、肉眼的病理診断が可能な貴重な診断法の一つであります。また、最近では肉眼的な診断のみならず、酸化 LDL、コラーゲン、マクロファージ等も診断ができるmolecular angioscopyも出現して参りました。色彩を定量化する試みとともに、新しい分野も成長しております。

日本心血管内視鏡学会は1987年東京で、レーザー血管内視鏡研究会として発足致しました。この発足には本学会名誉理事長の内田康美(財団法人循環器 学研究振興財団理事長)先生が日本の技術を育成しようとの大きな情熱があり、また、それに賛同する素晴らしい諸先輩の先生方の下で研究会が遂行され、毎回 非常に活発な議論がなされ、熱気に包まれておりました。 本研究会は平成9年の第11回大会より、日本心臓血管内視鏡学会となり、その後血管内視鏡のガイドライン、専門医、認定医制度等が作られ本格的な学会となりました。

ご存知の様に、血管内視鏡は我が国で開発され、育ってきた技術であります。我が国のファイバー技術の先進性があったことは勿論ですが、これを臨床に使用するため、多くの基礎実験、動物実験がなされました。まさに、基礎工学や基礎医学、臨床医学の集大成と思われます。医学の分野で診断機器は数多くあります が、心臓血管内視鏡は日本で育成された数少ない診断機器の一つであります。心臓血管内視鏡の日本における基礎、臨床研究の歴史はまさに、世界の歴史でもあ ります。今まで日本人によってなされた研究が世界の著明な学会で報告され、一流の雑誌に掲載されております。また、数多くの教科書にも図表が引用されてお り、素晴らしい成果を上げております。

我が国の科学技術、特に臨床医学の技術は欧米から輸入することが多かったわけですが、我が国にも世界に誇る技術があり、それに基づく臨床研究が日 本人の優秀な医師達によって行われています。是非、今以上に日本の内視鏡を発展させ、世界に情報を発信するとともに、この内視鏡が一人でも多くの患者さま に役立つことを期待して、私の挨拶とさせていただきます。