学会賞(褒賞内田賞・ベストイメージ賞)
内田賞について・応募要項について
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第27回学術集会 内田賞
「Adventitial vasa vasorum arteriosclerosis in abdominal aortic aneurysm.」
田中宏樹(Stanford University School of Medicine)
このたびは褒賞内田賞の名誉を賜り、内田康美先生をはじめ、選考委員会の先生方に心より厚く御礼申し上げます。
腹部大動脈瘤(AAA)の病態に大動脈壁局所の血流異常が指摘されていますが、その異常は壁在血栓が血管内腔からの血流を妨げるためと考えられています。しかし、解剖生理学的には大動脈壁外側の栄養は、主に脈管の脈管(vasa vasorum)によるとされます。私たちは手術時に採取した大動脈瘤壁の病理観察から、正常大動脈径の大動脈壁と比べ、大動脈瘤壁の外膜vasa vasorumが平滑筋細胞の増殖によって有意に狭窄していることを見出しました。(図1) さらに新しいイメージングシステムである質量顕微鏡法を用いて、壁在血栓の有無に関わらず大動脈瘤壁では血流異常と特異な脂質代謝異常が引き起こされていることを明らかにしました。(図2)これらの結果から外膜vasa vasorumの狭窄による大動脈壁の血流異常がAAAの病態に深く関与していることを示唆しました。
今回の受賞に際し,御指導を賜りました多くの先生方に深く感謝申し上げます。今後とも、格別の御指導御鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。
第27回学術集会 ベストイメージ賞
「分岐部病変にKissing Balloon Technique, KBTは必要か? ~OCT 3D構築像及びin vitroでの観察」
小岩屋 宏(宮崎市郡医師会病院 循環器内科)
この度、平成25年度第27回日本内視鏡学会において、ベストイメージ賞を賜り、誠に光栄に存じます。
私は、『分岐部病変にKBTは必要か?~OCT 3D構築像及びin vitroでの観察』という演題名で発表させて頂きました。分岐部病変へのPCIにおいてその治療法は必ずしも確立しておらず、controversialですが、現在のところ、single stent with KBT strategyが積極的に行われているように思われます。我々は、分岐部病変に対するKBTが、側枝のストラット拡張時に生じる側枝対側のステントの変形を改善させることを、in vivoではOCT 3D構築像で観察し、in vitroでの検討において同様の結果を確認したことを報告しました。本発表は、我々が経験的に行ってきた分岐部病変への治療戦略、KBTが不適切ではなかったことを示唆すると考えております。
本知見は1例のみにおける観察から得られたものではありますが、今回の学術集会のテーマである“イメージングが導く正しい治療戦略”の通りに、イメージングを用いて、分岐部病変に対するKBTの意義を確認することができたと考えております。
引き続き観察例を蓄積し、最も適切と考えられる治療を行うべく、今後の診療においてもイメージングを活かしていきたいと思います。また、今回の受賞を励みに、益々研鑽を重ねたいと思いますので、今後とも、先生方のご指導・ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
最後になりましたが、今回の受賞に際しこれまでご指導賜りました多くの先生方、コメディカルの皆様方に篤く御礼申し上げます。